人はわかりあえないのか。アニメを例に。

人はわかりあえないのか

 

現代社会における命題の一つではないでしょうか。 

 

アメリカでは黒人男性が白人警察官に殺され、人種差別デモが起こっていますし、日本ではSNSで誹謗中傷された女性プロレスラーの方が自殺しました。

 

どちらも、お互いにわかりあえなかったことも事件の一要因ではないでしょうか。

 

 

そもそも人類が国境や人種あるいは文化を超えてわかりあえることは可能なのでしょうか。

 

 

アニメで例えながら考察したいと思います。

 

ガンダムでは、連邦とジオンという2つの軍が敵対しています。お互いに大きな戦死者を出しながら、最後は地球連邦軍一年戦争の勝利を収めます。最後はアムロとシャアの攻防戦が繰り広げられます。

 

最初は敵対していたアムロとシャアは、続編であるZガンダムで同じ軍に所属し、互いに手を取り合い戦う道を選びます。昨日の敵は今日の友。ファンにとって夢のコラボを実現したのです。

 

しかし、それから数年後の世界。映画「逆襲のシャア」では、なんとシャアはジオン軍の総帥として君臨し、地球に隕石を落とそうとするのです。それを食い止めるため、再びアムロとシャアは敵同士となるのです。

ちなみにガンダムは機械なので燃料で動きます。

 

では、新世紀エヴァンゲリオンを次の例にしましょう。

 

主人公のシンジくんは、ある日(数年ぶりに会う)父親に呼び出され、「エヴァに乗って使徒と戦え」と言われます。シンジくんは、いきなりそんな事言われても無理だ、できないと声を荒げますが、できなければ帰れと言われる始末。そんな物語の始まりをします。

 

エヴァンゲリオンの世界では、特務機関ネルフが「人類補完計画」なるものを実行しようとしています。これについてはググればいくらでも出てくるのでザックリ説明することとします。

 

 

人間はATフィールドで人間の形を保っています。ゆえに個体として多くが存在しているのです。その個体により社会が形成されているのがエヴァの世界です。

 

ではATフィールドがなくなるとどうなるのか。

 

LCLという液体となります。つまり、個体ではなくなるのです。

 

人類補完計画は、人類のATフィールドをなくして全人類を一つにしてしまおうという計画です。

 

 

シンジくんは内気な少年で、他人との接触を避けてきました。「僕なんかが…」というウジウジした性格だったのですが、アニメ終盤では「僕は今の世界がいい」と、結局は人類補完計画に反対し、形を取り戻した登場人物から「おめでとう」と言われ物語が終わります。旧劇場版はまた違うエンドになっています。新劇場版は全く新しい世界になってしまっています。ちなみに新劇場版ラストは6月公開だそうです。

 

アニメ版エヴァンゲリオンでは、人類、少なくともシンジくんに関わる人達同士はわかりあえた結末を迎えられたと解釈して良いと思います。他人を受け入れることを選択したのだから。

ちなみにエヴァは電源で動きます。ケーブルに繋がれて。

 

 

ガンダムエヴァンゲリオン、どちらも数十年前のアニメで、現在もなお人気の衰えないアニメです。が、もうひとつのアニメを例に出したいと思います。それが「伝説巨神イデオン」です。

 

 

イデオンガンダムは同じ監督です。昔は玩具メーカーがロボットをデザインし、それを売れる商品にするためにアニメとして放送するという流れでした。商品として決まってしまった形のものをアニメ放送するため、デザインを変更することができないのです。

 

イデオンの見た目に関してはググってください。そして、ガンダムエヴァンゲリオンと比較してみてください。

 

当時イデオンのデザインを見た監督が、「こんなの第6文明人が作った遺跡ですよ」と比喩したことは有名な話です。

 

 

当時の案では、トランスフォーマーのように乗り物が人型ロボットに変形するため、十数メートルの設計だったようです。しかし、監督はじめ制作スタッフが懸命にシナリオを作った結果、アニメ放映時は105メートルと超巨大ロボットになっていたのです。おもしろいですね。

 

 

イデオンでは、地球人とバッフ・クランという宇宙人の戦いが描かれます。物語開始では戦争はなかったのですが、偶然地球人とバッフ・クランが出会い、互いに初めて見る人種故にわかりあおうとしないまま戦争に突入します。次第に舞台は宇宙へ変遷し、全人類VSバッフ・クランという壮大なスケールとなります。

イデオンの原動力はガンダムのように燃料でもなく、エヴァのように電源でもなく、「イデ」という未知のエネルギーで動きます。ちなみに「イデ」のエネルギーは無限です。無限力(むげんちから)なので燃料切れはしません。

 

この無限力を利用したイデオンガン、イデオンソードという武器があるのですが、射程は無限だし攻撃力は無限だしでいわゆるチートです。スーパーロボット大戦シリーズでも完全にバランスブレイカーです。

 

 

実はこの「イデ」、無限力の正体は第6文明人の集合無意識なのです。イデを利用して人類はバッフ・クランと戦うのですが、時折、イデは人を導くこともします。ある人をワープさせたり。

 

物語終盤で、地球人の子を宿したバッフ・クランの娘がその父親と話し合いをする場をイデがセッティングします。その子がこの戦争を収めるためのキッカケとなり得、そのことをまずバッフ・クランが知る必要があるからです。

 

 

しかし、異星人の子を宿した娘に対して父は激怒し、話し合いどころではありません。

怒り狂ったあまり、「宇宙の果ての果てまで追いかけてでも異星人の船を叩け!」と言います。

 

 

その瞬間であった。イデの発動が起こったのは。

 

イデがその無限力を開放したのです。

 

すべてを包む白い光によって、全人類が滅び、因果地平の彼方に吹き飛ばしたのです。

 

 

最悪のバッドエンドですね。

お互いがわかりあえないからこそ生じた、その種族そのものの全滅。

 

 

ちなみにエヴァ人類補完計画は、イデオンの物語に影響されています。

もっとも、エヴァはわかりあうことを選択したのですが。

 

 

このように、アニメから学べることは数多くあります。

 

 

インスタに真っ黒な画像を投稿したり、白人と黒人が笑顔で並んだ写真を投稿したりすることも必要なのでしょうが、そのときしか意識しないのであれば、それらの運動も何ら役割を果たしません。

 

事件があってから一斉にそのような行動をするのではなく、常に、ひとりひとりが意識しなければなりません。

 

投稿は量で測ることができますが、普段からそのように考えて行動しているかという質的側面も重要です。

 

 

アジア人も黄色人種で差別対象ですが、だからといって人種差別が許されるわけではありません。

非暴力で解決しなければなりません。その方法を考えるためにも、人には大脳皮質が発達しているのだから。

 

お互いが手を差し伸べるキッカケになるという面では、新型コロナウイルスの流行は良かったのかもしれません。

 

 

もし、人間がお互いをわかりあえないのならば…イデの発動が起こるかもしれません。しかし選択によっては、人類補完計画の失敗に終わるかもしれません。

 

この記事を読んだあなたは、どちらの結末を望みますか?